19日の土曜日お休みを頂きまして、福岡で開催されました第27回日本顎関
節学会 総会・学術大会に参加してきました。 専門医の更新要件でもあるた
め、毎年参加しております。
顎関節症の発症要因は未だ不明な点も多いものの、現在は複数の原因が”積み
木”のように積み上がり、ある高さを越えると発症すると考えられています。
その原因となる最も大きいものとして、クレンチング(くいしばり、歯ぎし
り、上下歯列接触癖など)であると言われています。 以前はかみ合わせが悪い
と起こると言われていましたが、今は「かみ合わせは一つの原因にはなるが、そ
れほど大きなものではない」と考えられています。
原因となるものの特定が難しく、またその除去も困難である顎関節症で、これ
までの治療は症状を緩和させる対症療法が中心となっていましたが、数年前に発
表された「上下歯列接触癖(TCH)」の概念とその研究によって、TCHは”
顎関節症の原因となる大きな積み木”で、止めることができるものであり、是正
により根本的治療が期待できるようになりました。 また、TCHの是正によ
り、口内違和感などの症状が緩和・消失した例の報告もあります。
しかしながら、改善は患者様自身の意欲・努力がかなり必要となってまいりま
す。 癖の矯正というのは、一筋縄ではいきません。
また、顎関節症による、慢性的な顎の痛みや開口障害は、痛みがあるからと顎
を動かさないことによって、筋肉・関節の硬化が起こり、さらに症状が悪化して
いきます。
「動かさない」から痛いのです。
ここ数年の研究により、積極的に「動かす」(リハビリテーション)ことに
よって、かなりの確率で改善することもわかってきました。 患者様自身のセル
フケアが、症状の改善のために非常に大きなウエイトを占めています。
ただ、このリハビリテーションも相当の痛みを伴うものであり、辛いものでも
あります(リハビリテーションとは元来、楽なものではありません…)
正確な顎関節疾患・類似疾患の診断にはMRIなど大規模な画像診断装置が必
要不可欠であり、歯科領域だけでなく他科の協力が必要な場合もあり、一般歯科
医院では制約はあるものの、可能な限り診させていただきますので、お困りの際
はご相談ください。
西 治